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  • 2008.06.13 Friday
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秋葉原通り魔殺傷事件でパニック

 この平和な日本で暮らしていて,命からがら全速力で走って逃げる,という経験はきっとめったにあるものではないだろう。



 今日は珍しく,秋葉原に来ていました。前の日に東京で仕事の用事があったので,そのついでに寄ったのです。アキバの,あの,なんというか,雑多なサブカルチャーを自由に受け入れようとする雰囲気が好きなのですが,それでも遠くに住んでいるため,めったに来ることはありません。せいぜい仕事で遠出したときに寄るといった感じです。今回も,仕事で使うMac用に外付けハードディスクが欲しくて,通販で買っても良かったのですが,せっかくなので,配送料を浮かそうと思い,秋葉館という店に寄っていました。



 店にちょっと入ったところで商品について店員さんと話をしていた時でした。ドォ〜ンという爆音が外に鳴り響き渡り,私も,その店員さんも自ずと外へ出てみると,同じように,何だ何だ,って様子で駆け寄る人の山。ちょうど正午を過ぎたころのホコテンと,神田明神通りの大きな交差点のあたりでしょうか,人混みに混ざって「救急車!」と叫ぶ声がいろいろな方向から響き渡る。

 中学生の頃,社会科の先生に「火事なんかが起きたらすぐ見に行こうとする人はいないか? そういう野次馬根性のある人は社会科がきっと好きになるぞ」と言って以来,私は積極的に野次馬になっていたので,今回も何のためらいもなく,その現場に向かいました。そして,気づくと前方のあちこちに倒れている人が数人。うずくまっている人,倒れて全く動かない人。懸命に介抱している仲間の人。人混みの向こうに,怪しげにノロノロと動く車が1台。一体,何が起こったんだ? 普通の交通事故とは何か違うぞ…と思ったその時。キャーという声(もう,文字では表せない声)と,「○×※☆!!」と怒鳴っている男性の声,そして「逃げろ!」という声とともに,自分よりもさらに前方の方で群がっていた大量の人が一斉に逃げ出す。あの大きな交差点が人だらけになりそうなほどの野次馬が,四方八方に逃げ出す。そして私の方へも走ってくる。訳も分からず私もとりあえず逃げる。訳も分からず,みんなと一緒に逃げる。さっきまでまだ話の途中だった秋葉館も通り過ぎ,狭い交差点を右に曲がり、何だか分からないけどもう大丈夫だろうと思って軽く後ろを振り向くと,どこかから



「ナイフだ!」



との叫び声が。

マジかよっ! さらにもう、ここからは何が何だか。おそらく狭い路地をさらに1ブロック分,きっとものすごい速さで逃げたんだと思う。みんな止まりだしたところで後ろを振り向くと,どのくらいでしょう,20〜30メーターくらい先でしょうか。中央通りから少し入ったところの,人混みが切れたところで警官と男がなんかやり合っている。徐々にその声が分かる。警官が「刃物を捨てろ!」と怒鳴っている。男が向きを変えると片手にナイフを握りっているのが見え,警官と対峙している。私と一緒に多くの人が固唾を呑んで見守っている。誰かがヤバイと思ったのか,また突然,群衆が逃げ出す。私のようにゼイゼイ息を切らしている人,全く様子が分かっていない人,そんな人がザワザワ騒いでいるうちに,「犯人」らしき男は捕まった。(注:警官がその男を地面にうつぶせにして取り押さえているところを私は確実に見ているはずなのだが,パニックになっていたのだろう。このあたりの時間的・位置的な順序が全く思い出せない。)

 すこし離れたところでは,カップルなのだろうか,男性が女性を抱えている。女性に手を回し,背中を両手で押さえている。その背中と手からは血があふれ出ている。別の路上には血糊が見える。

 再びホコテンの方に向かう。秋葉館よりも駅に近いあたりで人が倒れているそれぞれ何人かの人が応急処置を施そうとしている。数人が何かを叫びながら必死に介抱している。ホコテンや神田明神通りの交差点は,緊急車両を入れるため,歩行者整理をしている。大通りから人が離れるにつれ,惨状が目の前に飛び込んでくる。交差点のあちこちで人がまだ倒れている。救急車はまだか,と叫ぶ男性。泣き叫ぶ女性。気づくと私もまだ体の震えがとまらない。鳥肌が止まらない。

 やがて,ホコテンなど大通り一帯に立入禁止の黄色テープが貼られる。パトカーが順次到着する。大勢の人が心配そうに遠くから倒れている人を見守っている。必死に男性が心臓マッサージを続けているのに,路上に倒れた人は動く気配がない。救急車がなかなか来ない。やがて,応援を頼まれたのだろうか,消防車も数台到着する。パトカーが四方から到着する。ようやく救急車が到着する。でも台数がきっとまだ足りない。人がいなくなったホコテンの車道には誰かの靴の片方がそのまま置き去りになっている。被害にあった人のものなのか,逃げまどう人のものなのか。

 時間が経過するにつれ,ヘリコプターが集まる。きっとマスコミなんだろう。その数は徐々に増え,気づけば数機のヘリが交差点の上空を巡回している。どこのヘリなんだろうか,かなり降下して取材している(けっこう危ないと思うのだが)。しばらくすると,神田明神通りの交差点には大きな青いシートが貼られている。

 ホコテンが通行規制されていて,様子を見守る人たちと,ただ単に通行したい人がごったがえし,徐々に身動きがとれなくなり,私も,いつまでも野次馬根性むき出しというのも顰蹙だろうし(野次馬というより,腰が抜けた状態に近くなっていて,歩き出す気力すらなかったのだが),いったん場を離れようと思い,心臓の鼓動が収まらないまま,再び秋葉館へ。店員さんと事件の話をしつつ,必要な買い物を手短に済ませ,再び外へ。徐々に,事件後に来た人が増え始め,あちらこちらで好き勝手な状況報告が始まっている。犯人は数名だとか1人だとか,犯人はまだ逃げ回っているだとか。無理もない。(ビルの上から見ていた人がいれば別だが)あの現場にいた人で冷静に事件の一部始終を見ていられた人なんかいないだろうから,情報が錯綜している。私もいつの間にか,外国人の数人組が状況が分からず,不安そうにしているので,英語で状況を説明したりする。パトカー,救急車,消防車,警官の数は相当数になり,これだけ多くの緊急車両が集まることも,そうめったにないでしょうから,それだけ事の重大さが伝わってきます。(サミットが近いため,警察は特別警戒態勢に入っているのかもしれませんね。よく分かりませんが。)



 最初の予定では、用事を済ませたら上野に行って落語を堪能しようと考えていたのですが(ちょうど正蔵さんを見たかった),とてもとても落語をじっくり聞き入るような心境ではなく,さっさと東京を切り上げることにし,1時半すぎに荷物を預けてあるホテルへ。ホテルの備え付けのPCでYahooにアクセスすると,この事件が速報としてトップニュースに。「数名が心肺停止状態」との情報がその時点で載っていて,これを見て,改めて事件の重大さを知るとともに,また身体がゾッとなり,足早に東京を去りました。

 私の隣で見ていた男がケイタイで「いや〜,なんか今来たらさ〜,事件があったみたいでさー,すげーよ。誰か倒れてるんだけどさー,きっとあれだともう(以下私の方で自粛)」といった軽い感じで誰かに伝えていたり,店員さんの1人が「いやぁ〜,こういった大きなのは,久々なんじゃないんですか。ミスドが火事になって以来ですかねぇ。アキバは恐いですよー。(ニヤニヤ)」って感じで軽々しくしゃべっていたり,彼らにちょっと軽蔑しましたが,彼らは実際に現場に直面していないわけなので,誰もがきっとこんな感じにサラリと受け止めてしまうんでしょう。悲しいことではありますが。実際,帰りの秋葉原駅付近はいつもと変わらぬ感じで,メイドの格好した女性がニコニコ笑ってビラを配っていましたし,通行規制の敷かれた歩行者天国付近を除けば,いつもと変わらぬアキバのようでした。

 たまたま私の隣で様子を見ていた外国人と話をしたのですが,”I didn’t know Akihabara wasn’t such a dangerous town.”と私が言うと,その男性が, “No, but a crazy guy exists everywhere.”と言っていました。アキバに限ったことじゃないんだろうけど,しばらく,アキバには寄りたくありません(もともとめったに行けないけど)。今,これを書いていますが,あの時の出来事がフラッシュバックのようによみがえり,動悸が激しくなり,変な汗が出てきます。ホテルから駅に向かう地下道を歩いていると,後ろから「キャーッ!」って声が響き,思わず身を構えてしまいました。それは結局,小さな女の子がた大きな元気な声を出していただけだったのですが,PTSDって,こんな感じの症状がさらにひどくなっていくんでしょうか。アキバのあの付近に行くときっと今日のことを思い出して身体がおかしくなってしまいそうです。

 自宅に帰り,事件の全体像がようやく分かりました。自分が偶然居合わせたところから、ほんのわずかの範囲内で多くの人の尊い命が奪われてしまいました。実際に,犯人は,たまたま私が走った、まさにその方向へ追ってきたわけですし,私も,もし,逃げ始めるのがあと少し遅かったら…。もし途中でつまずいて転んでしまったりしたら…。もし足をケガしていて走れなかったら…。もし子どもと一緒に遊びに来ていたら…。そう思うと,全く他人事ではいられません。平和で,ごく普通の日曜日に,大勢の人を地獄におとしめた犯人に激しい憤りを感じるとともに,負傷された方々の1日も早い回復と,亡くなった方々へのご冥福をお祈りいたします。



(注:夜になって全体像が分かりましたので若干文面を修正しました。最初に書いていた「中央通り」は「神田明神通り」の誤りでした。田舎者の勘違いをお許し下さい。)

JUGEMテーマ:秋葉原通り魔事件





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